今回は、雪国の訪問看護師が学ぶべき雪道運転について徹底解説します!

こんにちは!雪国の訪問看護ステーション管理者のカムです。
雪国で訪問看護すること、6年。看護師歴は16年になりました!
皆さんはスキー場級の積雪がある地域で車の運転をしたことがありますか?
雪道はとにかく、**「滑る」「ハマる」「視界不良」**と、看護師の安全を脅かす危険がいっぱいです。
「雪国の運転は怖いけれど、利用者様が待っているから行かないわけにはいかない……」
そんな不安を抱える雪国初心者の看護師さんに向け、**「安全に、確実に現場へ辿り着き、そして無事に帰るためのノウハウ」**を解説します。

図やチェックリストなども添えて、わかりやすく解説します。ぜひご一読ください!
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積雪・凍結路面の「本当の」リスクを再認識する
「雪道は滑る」と分かっていても、その種類と怖さを正しく知っている人は意外と少ないものです。

まずは敵(路面)を知ることから始めましょう。
気が抜けない、路面の正体
ブラックアイスバーン(最凶の伏兵)
テレビのニュースなどで聞いたことがあるかもしれません。一見、ただ濡れただけのアスファルトに見えるのですが、実は表面が薄い氷で覆われています。夜間や早朝に多く、時速20km程度でもブレーキが全く効かなくなる恐怖の路面です。

轍(わだち)とハンドル取られ
除雪が追いつかない道路では、先行車のタイヤ跡が深い溝になります。この溝に沿って走る分にはいいのですが、進路変更や右左折で溝をまたぐ際、タイヤが雪に弾かれ、予期せぬ方向へ車が飛び出すことがあります。
ホワイトアウト(視界ゼロの恐怖)
猛吹雪になると、前を走る車のテールランプすら見えなくなり、空と地面の境界線が消えます。こうなると、自分が道路のどこを走っているのか、側溝がどこにあるのかすら分からなくなります。
停止距離の驚異的な伸び
乾燥した路面なら15mで止まれる速度でも、圧雪路面では3倍、氷結路面では8倍以上の距離が必要になるというデータもあります。「止まれる」と思った場所のずっと先まで車は進んでしまいます。

訪問看護特有のリスク
私たちナースは、大通りだけを走ればいいわけではありません。除雪車が入らないような狭い私道や、山沿いの坂道にある利用者宅へも向かう必要があります。
また、「急変対応」という極限の心理状態が、アクセルを踏む足を無意識に強くさせてしまう。これこそが、訪問看護師にとって最大の事故リスクと言えるでしょう。
雪道運転の心構え:プロとしてのマインドセット
次に、精神的な心構えについても触れてみましょう。運転の乱れは、心の乱れ。

技術以前に大切なのが、管理者・スタッフ共通の「意識」です。
管理者が伝える「行かない勇気」の重要性
訪問看護師として「利用者様を待たせてはいけない」という使命感は、誰よりも持っているはずです。しかし、管理者としてあえて伝えます。
「行かない勇気」も、立派な看護判断です。
豪雪地域において、猛吹雪は「災害」です。ホワイトアウトで視界がない中、無理に車を出して看護師が事故に遭えば、その後のケア体制自体が崩壊します。
重要なのは、**「行かなくても大丈夫な状況を事前に作る」**こと。
- 日中のうちに多めに薬や資材を準備しておく
- ご家族にケアの手技を指導しておく
- 電話でバイタルや状況を確認する「電話対応」に切り替える
これらも立派な支援です。「夜間の緊急事態は、日中のケアの延長線上にある」と考え、予測に基づいた先回りの対応を徹底しましょう。
「焦り」は事故の最短ルート

私もオンコール帯に自損事故を起こした経験があります。
「早く行かなければ」「処置を終えて少しでも寝なければ」
この数分の焦りが、結果として事故対応で数時間を無駄にし、修理費という大きな損失を生みました。
そもそも、雪道で時間がかかることは物理的な事実です。
事前に利用者様やご家族へ、**「冬期間は到着まで通常より30分以上長くかかります」**と、契約時や冬の初めにしっかり説明しておきましょう。この「事前の合意」があるだけで、精神的なプレッシャーは驚くほど軽減されます。
プロ直伝!雪国のドライビングテクニック
ここでは、具体的な運転のコツを、シーン別に解説します。
冬の本番直前に、しっかりと予習・復讐しておきましょう。
【発進・加速】「ふんわり」が鉄則
- じんわりアクセル: クリープ現象を利用するくらいの気持ちで、ゆっくり動き出します。急発進はタイヤを空転させ、路面を磨いてさらに滑りやすくしてしまいます。
- 2速発進(スノーモード): 1速(Dレンジ)だと力が強すぎて空転する場合、手動で2速に切り替えるか、車に備わっている「SNOW」ボタンを活用しましょう。
【カーブ・右左折】スローイン・スローアウト
- カーブ前の完全減速: カーブの途中でブレーキを踏むのは厳禁です。曲がり始める前に、直線部分で十分にスピードを落とします。
- ハンドル操作は優しく: 急にハンドルを切ると、タイヤのグリップが失われ、車が外側へ逃げていきます。
【ブレーキング】エンジンブレーキの魔法
- フットブレーキに頼らない: アクセルを離すことでかかる「エンジンブレーキ」を主役にしましょう。長い下り坂では、シフトを「L」や「B」に入れて、車自身の抵抗でスピードを抑えます。
- ポンピングブレーキ: 最近の車はABS(アンチロックブレーキシステム)が優秀ですが、それでも「小刻みに踏む」感覚を持つことで、タイヤのロックを防ぐ意識が働きます。
雪道で危険なポイント
以下に提示するのは、特に注意が必要な箇所です。
ここまで学んだマインドセットとテクニックを駆使し、危険を回避しましょう。

【もしスタックしたら】脱出の3ステップ
タイヤが雪に埋まって空転してしまった場合、焦ってアクセルを踏むのは逆効果です。
- 車を前後に揺らす: D(ドライブ)とR(バック)を交互に入れ、ブランコを漕ぐように車を前後に揺らし、反動で脱出します。
- 足場を固める: タイヤの下に脱出用ボード、または車に積んであるフロアマットやボロ布を敷きます。
- 雪を掻く: タイヤの周りの雪、特に「車体の下(お腹)」の雪をスコップで取り除きます。

※タイヤの下を掘ってしまうと逆効果です。掘るなら車体の下だけにしましょう。
雪国訪問ナースに最適な「相棒」の選び方
次にご紹介するのは、毎日お仕事で使用する車についてです。
車を買い換える、あるいはステーションで車両を導入する際の参考にしてください。
駆動方式は「4WD」一択
雪道での発進性能、スタックからの脱出性能において、4WDは圧倒的です。ただし、「止まる性能」は2WDと同じであることを肝に銘じてください。
「最低地上高(車高)」の重要性
どんなに4WDが強力でも、車体の底が雪に乗り上げ、タイヤが浮いてしまえば(これを「亀になる」と言います)、一歩も動けません。ある程度車高があるSUVタイプが安心です。
おすすめ車種
コンパクトSUV(例:トヨタ ライズ、ダイハツ ロッキー)
取り回しが良く、狭い住宅街でも安心。それでいて車高があるため、深雪にも強いです。
軽SUV(例:スズキ ハスラー、ダイハツ タフト)
「軽」の強みは、万が一スタックしても、大人2〜3人で押せば脱出できるという軽さにあります。
本格軽クロカン(例:スズキ ジムニー)
最強の走破性ですが、燃費や乗り心地、荷物の積載量(訪問バッグや予備物品など)を考慮して選びましょう。
雪国訪看6年目が教える「車内常備アイテム」
これがあるだけで、絶望的な状況から救われることがあります。
ぜひ、こちらのリストで装備を整えてみてください。

文明の利器を活用!おすすめアプリ&サイト
出発前の5分で、事故のリスクを半分に減らせます。
tenki.jp(豪雪地点)
1時間ごとの降雪量予測が非常に正確です。「14時から激しく降るから、その前に1件目を終わらせよう」といったスケジューリングに役立ちます。
[各都道府県の道路ライブカメラ]
自治体のホームページにあるライブカメラを確認しましょう。「事務所付近は大丈夫でも、山側の利用者宅周辺は猛吹雪」ということが一目でわかります。
[Googleマップ(交通状況レイヤー)]
真っ赤になっている場所は、事故かスタック車両による渋滞です。早めに迂回ルートを選択しましょう。
まとめ:利用者様と自分自身の命を守るために
雪道での訪問看護は、想像以上に神経を使い、体力を消耗します。しかし、私たちが訪問することで、雪に閉ざされた家で不安を感じている利用者様を笑顔にできるのも事実です。
最後に、この冬の合言葉として覚えておいてください。
- 雪道運転は「慣れ」ではなく「毎回の慎重さ」が命を救う。
- 適切な装備と知識は、自分を守るための最高の投資である。
- 「今日は行かない」という決断も、プロの看護判断である。
- 何よりも「今日も無事に家に帰る」ことを最優先にする。
装備を整え心の準備ができれば、冬はもう怖くありません。この記事を読んだ皆さんが、無事故で、そして温かい看護を届けられるよう心から応援しています!
あとがき:カムの失敗談から学ぶこと

最後に、私の恥ずかしい失敗談を共有します。
数年前のオンコール明け、まだ暗い早朝。路面は一見乾いているように見えました。私は「早く帰って寝たい」一心で、少しスピードを出してカーブに入りました。
その瞬間、車体は大きく横滑りし、歩道に激突。タイヤはバーストし、ホイールは曲がり、自走不能になりました。
幸い怪我人はいませんでしたが、もし歩行者がいたら?もし対向車がいたら?と考えると、今でもゾッとします。
「自分は大丈夫」という過信、そして「焦り」。これこそが雪道での最大の敵です。
皆さんも、ハンドルを握る前に一度深呼吸を。
この冬、一緒に安全運転で乗り切っていきましょう!
実は雪道トラブルのエピソードが他にもあります。気になる方はこちらから↓




