訪問看護とは?病棟との違いを現役管理者が解説

訪問看護の基本

こんにちは!訪問看護ステーション管理者のカムです。看護師歴16年で現在は訪問看護ステーションで管理者をやってます!

そんな私の所へは、「訪問看護って実際どうなの?」「病棟とどこが違うの?」という疑問が数多く寄せられるんです。

今日は私の実体験をもとに、訪問看護の実際について率直にお話ししたいと思います。

訪問看護とは?一言で言うとこんな仕事

訪問看護とは、病気や障害を抱えた方のご自宅や施設に看護師が訪問して、医療的ケアや生活支援を行う仕事です。

「在宅で医療を受けたい」「住み慣れた我が家で過ごしたい」という利用者さんとご家族の思いを、看護の力でサポートするのが私たちの役割です。

実際に私が担当している利用者さんは、以下のような方々です:

  • 人工呼吸器をつけて在宅療養されている方
  • 糖尿病のインスリン注射を自己管理されている方
  • 認知症で日常生活にサポートが必要な方
  • がんの終末期を自宅で過ごしたい方

病棟看護師時代の私が感じた5つの大きな違い

私自身、400床クラスの地域病院で病棟3年・手術室7年を経験した後、訪問看護に転職しました。実際に働いてみて感じた違いは本当に大きかったです。

1. 夜勤ではなく「オンコール」

病棟時代: 夜勤は3交代制。病院に泊まり込んで、夜通し患者さんのケアをしていました。

訪問看護: オンコール(待機)が基本です。自宅で普通に過ごしながらも、緊急時には電話対応や訪問をします。

実際、私のステーションでは月4〜6回のオンコール当番があります。でも、緊急出動は月1〜2回程度。電話相談だけで解決することも多く、夜勤のように「一晩中働く」ということはほぼありません。

オンコール手当の相場は1回2,000円〜1.0000円以内。出動時には、追加で手当が付くステーションがほとんどです。夜勤手当ほどではありませんが、体への負担を考えるとオンコールが私には合っていました。

2. 患者さんの「家」に訪問する感覚の違い

病棟時代: 患者さんは病院のベッドで待っていてくれる。正直な感想を言えば、こちらが主導権を握りやすい環境でした。

訪問看護: 利用者さんの「テリトリー(領域)」にお邪魔する感覚です。

これは本当に大きな違いでした。病院では「患者さん」でしたが、在宅では「生活している人」なんです。その方の価値観、家族関係、生活習慣…全てが見えてきます。

例えば、血糖測定を嫌がる糖尿病の利用者さんがいらっしゃいました。病院なら「先生の指示ですので、測定しますね」で終わりですが、在宅では「なぜ嫌なのか」「どうしたら納得してもらえるか」を一緒に考える必要があります。

その方の場合、「朝一番の測定だと低血糖が怖い」という不安があることが分かり、測定タイミングを工夫することで解決できました。

3. 一人で訪問・一人で判断する責任と自由度

病棟時代: 困った時はすぐに先輩や医師に相談できる。チームで動く安心感がありました。

訪問看護: 基本的に一人で訪問し、その場で判断・対応する必要があります。

正直、最初は不安でした。でも、実際には

  • 経験豊富な仲間と事前に相談しておける。
  • 困った時は電話で他のスタッフや医師に助けを求められる。
  • 緊急時は医師との連携システムが整っている

慣れてくると、この「自分で判断できる」ことが大きなやりがいになりました。利用者さんと1対1でじっくり向き合える時間は、病棟では得られない貴重な経験です。

4. 「治す」から「支える」看護への意識変化

病棟時代: 病気を治して退院してもらうことがゴール。

訪問看護: その方らしい生活を継続してもらうことがゴール。

90歳の利用者さんが「孫のお迎えに行きたい」とおっしゃった時、病棟時代なら「安静にしていてください」と言ったかもしれません。でも訪問看護では「どうしたら安全にお迎えに行けるか」を一緒に考えます。

結果的に、ケアマネさんやヘルパーさんと連携して、週2回のお迎え同行サービスを組むことができました。利用者さんの笑顔を見た時、「これが訪問看護なんだ」と実感しました。

5. 他職種との連携の深さと範囲

病棟時代: 主に医師、看護師、薬剤師、理学療法士との連携。

訪問看護: ケアマネジャー、ヘルパー、デイサービス、福祉用具業者、医療機器メーカー…本当に多くの職種と関わります。

管理者になってから特に感じるのは、この連携の重要性です。訪問看護師は在宅チームの「要」として、医療面から利用者さんの生活全体をコーディネートする役割があります。

向いているのはこんな人

訪問暦6年目の私カムが、訪問看護に向いているのはこんな人だと考えます。

向いている人:

  • 一人ひとりとじっくり向き合いたい人
  • 夜勤なしで働きたい人(ワークライフバランス重視)
  • 自分で考えて行動することが好きな人
  • コミュニケーション能力がある人
  • その人らしい生活を支えたい人

向いていない人:

  • 高度急性期の医療技術を追求したい人
  • チームでワイワイ働きたい人
  • 給与重視(夜勤手当がないと厳しい)人
  • 責任を負いたくない人

現役管理者が感じる訪問看護の魅力

私が病棟から訪問看護に転職した理由は、正直「夜勤がつらくなった」というのが始まりでした。でも実際に働いてみると、それ以上の魅力がありました。

1. 深い関係性が築ける 利用者さん・ご家族と長期間関わることで、本当に深い信頼関係が築けます。「カムさんが来てくれて安心した」と言われる時の喜びは、病棟時代とは比べものになりません。

2. 看護師としてのスキルがフル活用できる 在宅では看護師の裁量が大きく、観察力、判断力、技術、コミュニケーション力…全てのスキルが求められます。

3. ワークライフバランスが取りやすい 夜勤がないので体調管理しやすく、趣味の写真撮影や旅行も楽しめるようになりました。

4. 管理者として成長できた 現在は管理者として、スタッフ育成や地域連携に携わっています。病棟時代より責任は重いですが、やりがいも大きいです。

まとめ:訪問看護は「違う」けれど「素晴らしい」仕事

訪問看護と病棟看護は確かに大きく異なります。でも、どちらが良い・悪いではありません。それぞれに魅力があり、看護師としてのやりがいがあります。

もし「夜勤がつらい」「一人ひとりとじっくり向き合いたい」「地域医療に貢献したい」と思っているなら、訪問看護は本当におすすめです。

私自身、訪問看護に転職した6年前は不安だらけでしたが、今では管理者として充実した日々を送っています。看護師16年目の経験を活かして、このブログでは訪問看護の実際を皆さんにお伝えしていきたいと思います。

次回は「訪問看護師の一日のスケジュール」をお届けします。お楽しみに!


カムの訪看管理者ノートでは、現場で使える実践知識を発信中です。 質問や相談があれば、お気軽にコメントしてくださいね。


この記事のまとめ

  • 訪問看護は利用者さんの自宅・施設で医療ケアを提供する仕事
  • 病棟との主な違いは:オンコール制、訪問型、一人で判断、支える看護、多職種連携
  • ワークライフバランスを重視する看護師におすすめ
  • 深い関係性と看護スキルのフル活用がやりがい
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