こんにちは、訪問看護ステーション管理者のカムです。看護師16年目、訪問看護師としては6年目になります。
当ステーションは、とある雪国にあります。冬になると、普通の訪問看護では感じることのない悩みや苦労があるんです。
「雪国での訪問看護って、普通の訪問看護と何が違うの?」
そう思われる方も多いかもしれません。でも、雪のある・なしで、訪問看護の1日は劇的に変わります。
そこで今回は、冬、雪国の訪問看護について、大雪が降った日のリアルな1日をお伝えします。
この記事はこんな方におすすめ
- 訪問看護師になって初めての冬を迎える雪国ナース
- 雪国への移住・転職を検討している看護師さん
- 訪問看護の地域特性を知りたい方
それでは、雪国訪問看護師の過酷な1日を見ていきましょう。

雪国訪問看護師の1日のスケジュール【冬季版】
📋 とある雪の朝のタイムスケジュール
| 時刻 | 内容 |
|---|---|
| 5:00 | 起床・積雪確認 |
| 5:30 | 自宅の除雪作業開始(30分〜1時間) |
| 6:30 | シャワー・出勤準備 |
| 7:20 | 出発(通常より30分早く) |
| 7:50 | 出勤(通常は8:00だが早めに到着) |
| 8:00 | 事務所の除雪・訪問車の雪下ろし |
| 8:30 | 朝礼・訪問ルート確認(道路状況・積雪状況) |
| 9:00 | 午前の訪問開始(3件予定→2件に変更も) |
| 12:00 | 昼休憩(雪で遅れることも) |
| 13:00 | 午後の訪問(3〜4件→2〜3件に) |
| 17:00 | 帰社(雪で遅れ18:00〜18:30になることも) |
| 18:00〜 | 記録作成・退勤 |
では、各時間帯の詳細を見ていきましょう。
5:00 起床・積雪確認
まずはカーテンを開けて、積雪状況を目視でチェックします。
前日に天気予報は確認していますが、実際の積雪量は見てみないと分かりません。
- 積雪10cm以下 → 通常通り
- 積雪10〜30cm → 除雪必須
- 積雪30cm以上 → 除雪に1時間、訪問ルート調整検討
「今日は何時間除雪にかかるか…」
この瞬間から、雪国訪問看護師の1日は始まります。
5:30 自宅の除雪作業開始
除雪作業は想像以上の重労働です。
- 玄関前の除雪(2m四方)
- 車周辺の除雪
- 車の屋根の雪下ろし
- フロントガラスの霜取り
正直、汗だくになります。
冬なのに、除雪で体がポカポカを通り越して、汗びっしょり。真冬なのに半袖Tシャツで作業することもあります。
除雪のコツ
- 早朝に済ませる(日中は新しい雪が積もる)
- 雪は道の端に固める(冬の道路脇は雪壁がどんどん高くなっていきます)
- 腰を痛めないフォームで(腰痛持ちナース多し)
除雪作業だけで30分〜1時間。
まだ訪問にも行っていないのに、すでに疲労が…。
6:30 シャワー・出勤準備
汗だくになったので、シャワーを浴びます。
「汗臭い看護師さんは嫌ですよね(笑)」
利用者さんのお宅に訪問するので、身だしなみは大切です。
雪国ナースの冬の服装
- インナー: ヒートテック(吸湿速乾タイプ)
- 中間着: 薄手フリース
- アウター: 防水・防風ジャケット
- 靴: 防水ブーツor長靴(滑り止めソール必須)
- 小物: 手袋、ネックウォーマー、耳当て
※服装については別記事で詳しく解説予定
7:20 出発(通常より30分早く)
雪の日は、通常より30分早く家を出ます。
理由は:
- 道路の除雪が終わっていない
- 渋滞が発生する
- 視界不良で運転速度が落ちる
- 事故のリスクが高い
通常15分の通勤が、雪の日は30分かかることも。
7:50 出勤(通常は8:00だが早めに)
雪の日は早めに出勤します。
なぜなら、事務所に着いてからも雪との戦いが待っているからです。
8:00 事務所の除雪・訪問車の雪下ろし
出社後、さらに除雪作業が待っています。
- 事務所前の駐車場の除雪
- 訪問車(軽自動車・普通車)の雪下ろし
- 車のエンジン始動・暖機運転
せっかくシャワーを浴びたのに、再び汗が吹き出します。
この時点で、すでに2回目の除雪作業。体力的にかなりキツイです。
訪問車の雪下ろしの注意点
- 屋根の雪を必ず落とす(走行中に落ちて危険)
- フロントガラスの霜をしっかり取る(視界確保)
- ワイパーが凍っていないか確認
- タイヤ周りの雪も除去
- 排気口(マフラー)は塞がない
スタッフ全員で協力して除雪するので、チームワークが試されます。
8:30 朝礼・訪問ルート確認
雪の日の朝礼は、通常より慎重に行います。
朝礼で確認すること
1. 道路状況の確認
- 国道・県道の除雪状況
- 通行止めの有無
- 渋滞情報
2. 訪問ルートの変更
- 危険な山道は避ける
- 訪問順序の入れ替え
3. 訪問件数の調整
- 訪問できないお宅は日を変更することを検討し、件数を調整する場合もある
4. 訪問中止の判断
- 吹雪が予想される場合
- 利用者さん宅への道が除雪されていない場合
管理者として、スタッフの安全を最優先に判断します。
9:00 午前の訪問開始(3件予定→実際は…)
いよいよ訪問開始ですが、雪の日は予定通りにいきません。
午前の訪問例(雪の日)
9:00〜9:50 1件目:Aさん宅
- 移動時間: 通常15分 → 雪の日30分
- 訪問時間: 30分(インスリン注射、血糖測定、服薬管理)
多くの場合、訪問前に利用者さんのご家族が除雪をしておいてくれます。
高齢の利用者さんは自分で除雪できない場合もあるので、訪問看護師がお手伝いすることもあります。
10:30〜11:20 2件目:Bさん宅
- 移動時間: 通常10分 → 雪の日25分
- 訪問時間: 40分(人工呼吸器管理、バイタル測定、清拭)
途中、道路が雪で狭くなっており、対向車とのすれ違いに時間がかかりました。
3件目は午後に延期
予定していた3件目は、時間的に厳しいため午後に変更。
雪の日は、午前2件・午後2件の計4件訪問が精一杯です。
12:00 昼休憩(雪で遅れることも)
通常12:00に事務所に戻りますが、雪の日は12:30になることも。
お弁当を温めて、急いで昼食。
スタッフ同士で「今日の道路状況」「午後の訪問」について情報交換します。
13:00 午後の訪問(3〜4件)
午後も引き続き訪問ですが、天候次第で中止判断も。
午後の訪問例(雪の日)
13:00〜13:50 3件目:Cさん宅
- 移動時間: 通常20分 → 雪の日40分
- 訪問時間: 30分(褥瘡処置、リハビリ)
午後は吹雪が強まり、視界不良。
ホワイトアウトを目の当たりにする恐怖。有効視界数十メートルの時も。
14:30〜15:20 4件目:Dさん宅
- 移動時間: 通常15分 → 雪の日30分
- 訪問時間: 40分(点滴管理、ターミナルケア)
この時点で15:20。通常なら5件目に向かいますが、雪のため訪問できず。
利用者さんからも、本日は訪問不要と連絡あり。
17:00〜18:30 帰社・記録作成
通常なら17:00に帰社ですが、雪の日は18:00〜18:30になることも。
- 訪問記録の入力
- 翌日の訪問予定確認
- 車の雪下ろし(帰り道用)
やっと1日が終わります。
雪国で訪問看護をする「つらいところ」5選
1. 除雪作業で体力消耗
1日3回の除雪作業(自宅・事務所・帰宅時)
訪問看護の仕事以前に、除雪で体力を使い果たします。
2. 移動時間が読めない
通常15分の距離が、雪の日は30分〜40分。
稀ですが訪問できないこともあり、利用者さんに申し訳ない気持ちになります。
3. 吹雪での運転の恐怖
視界不良、スリップ、対向車との接触リスク。
正直、命がけの訪問です。
4. 利用者さん宅の除雪も
高齢の利用者さんは自分で除雪できません。
車に積んだスコップで、除雪しながら玄関を目指すこともあります。
5. 訪問中止の判断のプレッシャー
管理者として「訪問中止」を判断する責任。
- スタッフの安全 vs 利用者さんへの責任
- 吹雪が予想される場合の判断
- 利用者さん・ご家族への説明
この判断は、本当にプレッシャーです。
雪国で訪問看護をする「いいところ」5選
1. 利用者さんとの信頼関係が深まる
「こんな雪の日に来てくれて、本当にありがとう」
この言葉を聞くと、苦労が報われます。
2. 体力がつく(除雪=筋トレ)
除雪作業は全身運動。
冬が終わる頃には、腕・背中・脚の筋肉がついています(笑)
3. 危機管理能力が身につく
吹雪での運転、訪問中止の判断、緊急時の対応。
これらの経験は、看護師としての危機管理能力を高めてくれます。
4. 春の喜びが倍増
雪が溶け、春が来た時の解放感は格別です。
「やっと冬が終わった…!」
この喜びは、雪国ナースにしか分かりません。
5. 雪国手当がもらえる(場合も)
ステーションによっては、冬季手当がもらえます。
わずかですが、雪の苦労への報酬です。
雪国の訪問看護ステーションを選ぶポイント
もし雪国の訪問看護ステーションへの転職を考えているなら、以下をチェックしましょう。
✅ 確認すべきポイント
- 4WD車を使用しているか
- 冬季手当の有無
- 除雪の扱い: 業務時間に含まれるか
- 吹雪の日の訪問中止基準: 明確な基準があるか
- 冬季の訪問件数: 現実的な件数設定か
まとめ:雪国での訪問看護は過酷だが、深いやりがいがある
雪国での訪問看護は、正直言って過酷です。
- 1日3回の除雪作業
- 移動時間が読めない
- 吹雪での運転の恐怖
でも、その分、利用者さんとの信頼関係は深まり、「来てくれてありがとう」という言葉の重みが違います。
雪国での訪問看護は、過酷だけど、やりがいも大きい。
もし雪国での訪問看護に興味があるなら、ぜひ一度見学に行ってみてください。冬の厳しさを知った上で、それでも「やりたい」と思えるなら、きっと素晴らしい訪問看護師になれるはずです。
次回は「雪国で訪問看護する際の服装【冬季の実践的な装備ガイド】」をお届けします!
この記事のまとめ
- 雪国の訪問看護は1日3回の除雪作業から始まる
- 移動時間が通常の1.5〜2倍かかる
- 訪問件数は通常7件→雪の日4〜5件
- 吹雪での運転は命がけ
- 利用者さんとの信頼関係が深まる
- 体力・危機管理能力が身につく
- 春の喜びが倍増
- 転職前に冬季手当・除雪の扱いを確認すべき
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